2024年08月17日

糖尿病と透析患者さん

1、糖尿病とは

インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気で、血管が傷つき、もろくなって、硬くなってしまい動脈硬化を起こす病気です。

その動脈硬化によって心臓病、失明、下肢切断といった重症な合併症を引き起こします。インスリンは、膵臓から出るホルモンであり、血糖をコントロールしてくれます。この、インスリンが十分に働かなくなるのが糖尿病です。

2、透析患者さんの検査値の見方

DM説明.png

透析患者さんは、GA値と血糖値を指標とします。

GA(グルコアルブミン):20%以下(但し心臓病のある方は、24%以下)

 GAとは、採血日の直近の2週間前から採血時までの平均血糖状態です。

 70歳以下の方は、20%以下でも透析前血糖が 200mg/dl 以下かつ HbA1c  6.5%以下としています。

透析前血糖値:180mg/dl 未満

3、治療方法

1)食事療法・運動療法

まずは、第一に行うことは、食事・運動療法です。

肥満の方は、摂取カロリーを抑える必要があります。標準より、200〜300kcal少なく摂取

低栄養の方(アルブミン3.4g/dl以下)は、通常の透析患者さんの摂取カロリーを多くする必要があります。

1回の主食の量を決めておきましょう!
砂糖を多く含むジュース、缶コーヒー(微糖も)、ヤクルト、アイスクリーム、ジャム、菓子パン(メロンパンは、カロリーが高い)、あめ、お菓子は、控えましょう。
のどがイガイガするからとトローチをよく摂取する方がいますが、あまりよくありません。
動物性脂肪類は、(肉類、ラード、牛乳や乳製品のほか、ケーキ、チョコレート、アイスクリームといったバターや乳脂肪を使った洋菓子類)、ポテトフライ、ハンバーガー、ドーナッツは、コレステロールや中性脂肪を増やし、動脈硬化を促進させる危険性が高いといわれる飽和脂肪酸を多く含んでいるため、適量摂取を心がけることが重要です。
もちろん、運動は、とても大切です。出来る運動を毎日続けましょう!!

2)薬物治療

糖尿病治療薬は、腎臓での代謝が大部分であるため、認可されているお薬が限られています。

透析患者さんの糖尿病治療は、食事、運動、インスリン注射療法が主となります。認知症.png

しかし、インスリン注射は、みなさん抵抗があり、なかなか受け入れが難しいので、内服でコントロールできない方にインスリン療法を勧めています。血糖コントロールは、認知症予防にも効果があるといわれています。

4,シックデイの対応方法

発熱、下痢、嘔吐など症状が強い時、食事がとれない時をシックデイといいます。

以下の場合、先生に相談しましょう。自己判断でインスリンや飲み薬を中止することは、しないでください。

 1)高熱
 2)下痢、嘔吐
 3)食事が全くとれない
 4)高血糖(350mg/dl)以上が続くとき
 5)意識状態の悪化がみられるとき 

血糖値を3〜4時間おきに測定して、症状、血圧、体温などメモに残して医師に相談してください。

事前に医師に尋ねて、対応できるようにしておきましょう。        

基本の対処法

*持効型インスリン(ロングタイプ)は、基本減量せず接種してください。速効型、超速効型は、血糖値・食事量に応じて調節してください。

*内服薬は、スルホニル尿素薬(SU薬)、グリニド薬は、食事が、全く摂れない状態であれば、中止してください。状況をメモして病院に連絡してください。

糖尿病の薬が分からない場合は、病院に連絡してください。

5、低血糖時の対処法

低血糖.png低血糖の症状

イライラする感じ、脱力感、目のちらつき、冷や汗、動悸、手足の震え→放置すると意識障害、痙攣、昏睡、このような症状があれば、ブドウ糖を10gあるいは20g摂取されてください。ブドウ糖は、ドラックストアやスーパー等でタブレットタイプで販売しています。ブドウ糖がない場合、糖分のはいったジュースでもかまいません。低血糖は、いつどこでなるかわかりません、常にブドウ糖を持ち歩いてください。インスリンを打たれている方は、特に注意しましょう。常に低血糖が起こり、心配な場合、重症的な低血糖が起きた場合、医師に相談してください。家族にも、協力、知っておいてもらって、すぐ対処できるようにしましょう。

適正な血糖コントロールを行うには、内服は決められたとおり飲み、インスリンはきちんと接種し血糖値をきちんと測定しましょう。

※心臓血管合併症予防

毎日毎食時の内服、インスリン療法、食事に気を使うことが、合併症の予防になります。



posted by じんたろう at 16:51| Comment(0) | 治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月10日

リンと便秘とお薬

今回は、リンのお薬と便秘との関係性についてです。

リン吸着薬の種類は、大きく分けて6種類あり、それぞれ、特徴があります。

リンのお薬で注意すること

カルタン
(沈降炭酸カルシウム)
胃酸によってCa2+イオンとなり,消化管でリン酸と結合して消化管からのリン吸収を抑制します.
特徴:食後の服用では,胃酸が薄まって(専門的には胃内pHが上昇して)本来の薬の力が発揮できない!
よって,食直後に服用する必要があります.
他剤に比べて消化器系副作用が少ない.
甲状腺機能のお薬と一緒に飲むと効果がなくなるので甲状腺機能のお薬は、時間を空けて飲んでください。牛乳をたくさん飲むと高カルシウム血症になるので牛乳は、少量にしてください。
フォスブロック
(セベラマー塩酸塩)
消化管でリン酸と結合してリン吸収を抑制します.
特徴:他の薬剤の吸収を低下させる可能性があるため,食直前で服用します.
体内への吸収が低く,安全性が高い反面,便秘の出現頻度が高い傾向にあります.
便秘や便秘の悪化、腹痛、嘔気があれば、申し出てください。
ホスレノール
(炭酸ランタン)
消化管でリン酸と結合してリン吸収を抑制する.
特徴:チュアブル錠は必ず噛み砕いて服用する.
炭酸カルシウムと比較してリンの低下効果が高いとされています.
食直後に服用します
副作用で嘔気、胃部不快があります。
お薬の形状が、顆粒・チュアブル・OD錠と三種類あります。
飲みやすいタイプを選んでください。
キックリン
(ビキサロマー)

消化管でリン酸と結合してリン吸収を抑制する.
特徴:他剤よりも体内での薬剤の膨潤(膨らみ)が少なく,便秘が少ないと言われています.
他の薬剤の吸収を低下させる可能性があるため,食直前で服用します.
便秘や便秘の悪化、腹痛、嘔気があれば申し出てください。

リオナ
(クエン酸第二鉄水和物)
消化管でリン酸と結合してリン吸収を抑制する.
特徴:鉄が腸管粘膜を刺激して,下痢を起こす場合がある.
鉄分が含まれるため、便が黒くなります。
貧血改善作用がある.
食直後に服用します.
下痢や軟便の場合、下剤を減量又は、中止してください。
血液中の鉄が多くなりすぎないか、採血で確認しています。
ピートル
(スクロオキシ水酸化鉄)

消化管でリン酸と結合してリン吸収を抑制します.
特徴:鉄が腸管粘膜を刺激して,下痢を起こす場合がある.
チュアブル錠は噛み砕いて服用します.
鉄分が含まれるため、便が黒くなります。
口の中が黒くなることがあります。
貧血改善作用があります.
食直前に服用します。
チュアブル・顆粒があります。
血液中の鉄が多くなりすぎないか、採血で確認しています。

リンのお薬で大切なこと、注意すること

リンのお薬は、腸で食物の中のリンと結合し、便と一緒に身体の外にリンを排泄して、リンの吸収を抑え、血液中のリンの濃度を下げる薬です。食事やおやつを食べたら、必ずリンのお薬を飲んでください。食べたら飲む、食べたら飲むを習慣にしてください。

リンの薬を飲むと、嘔気がする、下痢をする、軟便になるなど気になることがあれば、自己判断せず、看護師に相談してください。他のお薬に変更も可能です。飲み忘れしやすい方は、食事中に飲んでみてください。飲み忘れた場合、30分以内であれば、すぐに服用してください。外食は、リンを多く含む食品、いつもより多く食べてしまうため、必ず飲んでください。いつも、カバンの中には、一回分のお薬を入れておくのも、おすすめです。外出時は、食べるつもりがなくても、お薬をもって外出しましょう!

リンが高い状態が続くと(6.0以上)血管に石灰化(固くなる)が起きます。
又、二次性副甲状腺亢進症となり、骨がもろくなり、骨折しやすくなります。

リンのお薬は、便と一緒に体の外にリンを排泄することにより、リンの吸収を抑え、血液中のリンの濃度を下げる薬です。
ということは、便秘をしない方がリンが上がりにくいです。便通コントロールもリンを上昇させない、秘訣です。増加体重にも関わることなので便秘をしないように便秘の薬を紹介します。

センノサイド・アローゼン・ヨーデル大腸刺激性下剤(大腸を刺激して便を動かす)
リンゼス・アミティーザ

小腸刺激性下剤(小腸の水分分泌機能を高め、便を柔らかくして排便を促す)

グーフィス胆汁酸再吸収阻害(大腸に流入する胆汁酸の量を増やし、水分分泌や大腸運動を促進して排便を促す)
モビコールポリエチレングリコール製剤(水分を腸まで届けて腸の動きを活発にする)
ラグノスゼリー糖類下剤(腸管内に水分を保つことで便を柔らかくする)
座薬・浣腸直腸刺激性(肛門直ないし直腸を刺激して排便を促す)
漢方大建中湯・麻子仁丸

透析患者さんは、便秘しやすいです。しかし、便秘をするとリンも排出されず、リン上昇の原因となります。

下剤は、いろいろな組み合わせをして出しやすくするのが、コツです。例えば、腸の動きをよくするモビコールと大腸を刺激するセンノシドなど、自分にあった、便秘薬を見つけましょう。そして、自分で調整してゆきましょう。

便秘は、お薬だけでなく、腸の動きをよくすることも大切です。ちょっとした、便秘体操も簡単ですので、やってみてください。


便秘体操2.png
posted by じんたろう at 16:36| Comment(0) | 治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月11日

血液透析治療について

まずは、腎臓についてkidney.png

腎臓とは、背中の腰の高さに左右1個ずつある、握りこぶし大の大きさの臓器です。血液中の老廃物をろ過して尿をつくる、からだの「排泄処理場」です。腎臓には、心臓が1回の拍動で送り出す血液の4分の1が送り込まれ、約150180リットルもの尿のもと(原尿)がつくられ、ろ過が繰り返されます。最終的に約15リットルまで減って尿として排泄されます。

透析療法とは

腎臓の働きが健康な人の10%以下になると血液のろ過が十分に行えず、水分や老廃物のコントロールができなくなります。それを補うのが血液透析療法です。(腎代替療法の中のひとつです)

今、皆さんが行っている治療を血液透析といいます。血液を体内からと取り出し、血液透析器(ダイアライザー)を通して血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、きれいになった血液を体の中に戻す方法です。

HD回路.png

シャント血管について

血液を体の外に出すために動脈と静脈をつなぐ手術をします。その血管を使って、血管に針を刺し(穿刺)血液回路(チューブ)につなぎます。その血液をダイアライザーで浄化し、もう一カ所穿刺した血管を通して体内に戻します。ダイアライザーは、半透膜がストロー状に束ねられており、ストローの外側を透析液が流れ、ストローの内側に血液を流します。血液中の老廃物を十分に除去する為には「1分間に200ml」以上の血液をダイアライザー内に送り込まなければなりません。

健康な腎臓は一日中(24時間)働いていますが、透析治療は、週3回、一回の透析で4時間〜6時間(その方によって違いがありますが)しか行えません。ですから、透析治療だけでは、補えないことがあります。

そのため、@塩分や水分を制限すること、Aくだもの、生野菜を控えること、Bリンを吸着薬を毎食事に飲む、C血圧を調節する薬を飲む、など多くの制約があります。透析において、水分制限をどうしたらいいかなど、わからないことがあれば、スタッフにお声をかけてください。

posted by じんたろう at 16:40| Comment(0) | 治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする