2012年04月05日

検査データの見方

やわらかな陽ざしが快い季節となりました。
今回は、毎月採血の後に、配布している採血データの項目について説明をしていきたいと思います。
なぜ採血をしているのか理解を深めて頂ければ幸いです。

アルブミン(Alb) 目標値 3.5 g/dl以上
血中に存在する蛋白質の主要な成分。透析患者さんではアルブミンが低い場合、まずは栄養不足、次に透析が不足していないか、そして消耗性の炎症がないかを考えます。肝疾患の合併がある場合は、一般に低値の傾向があります。

CK(CPK)クレアチンキナーゼ 基準値 ㊚62‐287 ㊛45‐163 U/L
主に筋肉に存在する酵素です。筋肉細胞のエネルギー代謝おいて重要な働きをします。
高値:骨格筋疾患・心疾患(心筋梗塞)などが考えられます。
低値:甲状腺機能亢進症・妊娠などが考えられます。

AST(GOT) 基準値 10‐20 U/L(透析患者さんの場合、通常より低めになります)
肝臓などの細胞に含まれる酵素。高いと障害を意味します。

ALT(GPT) 基準値 5‐20 U/L(透析患者さんの場合、通常より低めになります)
肝臓の細胞に含まれる酵素。高いと障害を意味します。

LD(LDH) 基準値 115‐245 U/L
LDHは体内で糖がエネルギーに変わるときに働く逸脱酵素です。LDHは身体のほとんどの組織に存在し、身体の細胞が壊れて血液中に出てきます。
高値:組織の細胞に障害が起きると、LDHが血液中に流れ出て値が上昇します。しかしLDHは身体のほとんどの組織に存在するので、どこに障害があるのかは単独では判断しづらいです。

アルカリフォスファターゼ(ALP) 基準値 115-359 U/L
肝臓や骨の細胞に含まれている酵素。高いと障害を意味します。骨変化がある場合にも上昇しますので、副甲状腺機能亢進症の目安にもなります。

γ−GTP 基準値  ㊚0‐70 ㊛0‐30 U/L
肝臓細胞に含まれる酵素。飲酒で上昇します。
アルコール性肝障害の目安です。

総ビリルビン(T‐Bil) 基準値 0.3〜1.2 mg/dl
ビリルビンは赤血球が崩壊した後に赤血球の中のヘモグロビンから生成されます。透析患者さんの場合は、腎性貧血に伴うヘモグロビンの量の減少によりビリルビンの値が低くでます。
高値:肝疾患が考えられます。また血中の直接ビリルビンの量が増えると黄疸の症状が現れます。

クンケル(ZTT) 基準値 2.0‐12.0 U
肝臓障害や慢性の炎症で上昇します。

コリンエステラーゼ(ChE) 基準値 ㊚242‐495㊛200‐459
肝臓での蛋白合成能の評価基準です。蛋白合成の材料であるアミノ酸不足をきたすような栄養障害があれば低下します。

グルコース(血糖) 基準値 食後2時間値 140mg/dl未満
血液中のブドウ糖の量を表し、現在の食事量や内容を反映しています。採血の結果は透析前に採血をするため、ほとんどの方が食後血糖になっているはずです。

HbA1c 基準値 4.7-6.2 %
血液中のヘモグロビンとブドウ糖が結合したもので、約1〜2カ月前から現在までの平均血糖値を反映しています。
血糖コントロールが不良で高値が続くと高くなります。透析患者さんの場合、赤血球寿命が短いため低めの値になります。

LDL‐コレステロール 基準値 70-139 mg/dl
低比重リポ蛋白コレステロール(悪玉コレステロール)。コレステロールを動脈壁へ運びます。高い状態を放置すると合併症として、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症を併発します。
食事の影響をうけやすいと言われています。

中性脂肪(TG:トリグリセライド) 基準値 50-149 mg/dl
血中に含まれる中性脂肪の量を表します。
中性脂肪は脂質異常症の診断基準の一つとなります。
高値:飲酒(多量)・脂肪・カロリーの摂り過ぎが考えられます。また余分な中性脂肪は肝臓に蓄積され、脂肪肝の原因にもなります。
低値:中性脂肪の取り込みを促進させる甲状腺ホルモンが増加する甲状腺機能亢進症が考えられます。

尿素窒素 透析前目標値 80 r/dl以下
体内で蛋白質が分解されてできる老廃物で、血液中の尿素に含まれる窒素分のことをいいます。蛋白質の取りすぎや透析不足、消化管出血や脱水などで高値を指します。

クレアチニン 透析前目標値 16 r/dl以下
透析患者さんの場合、透析前クレアチニン濃度は、クレアチニンの産生速度と血液透析によるクレアチニンの除去および残存腎機能により決定されます。クレアチニン産生速度は体格(筋肉量)活動性によって異なり、ダイアライザのクレアチニン除去効率は透析条件(血流量や透析時間など)によって異なります。主に筋肉量(栄養状態)の指標としています。

尿酸(UA)透析前目標値 8 mg/dl以下
尿酸値は高尿酸血症の診断基準の一つとなります。
尿酸はプリン体が分解されてできる老廃物で、腎臓から尿に排泄されます。
高値:尿酸が腎臓からうまく排泄されない場合や、尿酸の成分となる「プリン体」の過剰摂取(過食・美食・大量アルコール摂取)などの場合が考えられます。また痛風になる可能性が高くなります。

Na(ナトリウム) 基準値 135-147 mEq/L
細胞外液中に多く存在しており、もっとも多い陽イオンです。
体内の水分量と密接な関係があるので、塩分摂取量が多いと必然的に水分摂取量も多くなりますので気をつけましょう。

CL(クロール)基準値 98-109 mEq/L
細胞外液中に多く存在し、もっとも多い陰イオンです。
体内の水分量と密接な関係があるので、塩分摂取量が多いと必然的に水分摂取量も多くなりますので気をつけましょう。

K(カリウム) 目標値 3.6-5.0 mEq/L
98%は細胞内に存在し、残りの2%程度が細胞外液中に存在しています。
高値:致死性の不整脈・心停止の合併症の原因となるため、迅速の対応が必要です。カリウムは殆どの食材にふくまれているので、過剰摂取の予防が必要です。カリウムは感染・発熱・外傷・手術などでも上昇します。
低値:摂取不足、嘔吐や下痢による体外への喪失です。脱力や麻痺などの症状が現れ、さらに低下すると致死性の不整脈を発症します。

Ca(カリシウム) 基準値 8.4-10 mg/dl
骨を形成するミネラルで、細胞の興奮に関係する重要な成分です。
高値:意識低下、偽認知症、掻痒感、異所性石灰化、心血管系疾患による死亡に影響を与えます。
低値:けいれん、テタニー、不整脈など。

P(無機リン) 目標値 3.5-6.0 mg/dl
細胞内に大量に存在するマイナスのイオンです。リンは、骨の代謝、エネルギーの産生、筋肉の働きなど重要な役割を果たします。腎不全では蓄積しがちです。治療として、十分な透析量を確保し、リン吸着剤・活性型ビタミンDの薬剤の調整、リン摂取制限の食事指導をします。高すぎても低すぎても生命予後が悪くなります。
高値:掻痒感、二次性副甲状性機能亢進症の進展、異所性石灰化、心血管系疾患による死亡に影響を与えます。
低値:栄養不足

血清鉄 基準値 ㊚54‐200㊛48‐154 μg/dl
赤血球の中のヘモグロビンの一部です。
高値:再生不良性の貧血が考えられます。
低値:鉄欠乏性の貧血が考えられます。

TIBC(総鉄結合能 ) 基準値 ㊚253‐365㊛246‐410 μg/dl
Fe(血清鉄)と同時に測定することにより、鉄代謝異常を推測できます。透析患者さんでは良い栄養指標となります。
高値:鉄欠乏性貧血、真性多血症など
低値:ネフローゼ症候群、慢性感染症、膠原病、悪性腫瘍など


CRP定量  基準値 0.3 mg/dl以下
炎症性疾患があると高くなります。
陽性:感染症、悪性腫瘍、膠原病の他に、長期透析治療の継続による合併症の場合もあります。

白血球数(WBC)基準値 4000‐8000 /ul
白血球は、外部から侵入してきたウイルスや細菌などの異物を撃退します。
高値:一番頻度が多いのは、感染症です。細菌の感染などによって、体の防御反応が活性化されて白血球が増えます。
低値:ある主のウイルス感染や自己免疫疾患があります。

赤血球数(RBC) 基準値 ㊚427‐570㊛376‐500×10⁴/ul
健常者では腎臓で造血ホルモンであるエリスロポエチン(EPO)が産生され、骨髄に造血刺激を送り、赤血球がつくられます。透析患者さんでは、腎臓から分泌されるEPOが有効に利用されないため、十分な赤血球が作られず貧血となります。「腎性貧血」

血色素量(Hb) 目標値 10-12 g/dl
ヘモグロビンは鉄と結合している蛋白で、体の隅々に酸素を供給しています。このヘモグロビンが少ない状態が貧血です。

ヘマトクリット値(Ht)目標値 30-36 %
血液中の赤血球量の割合(%)を示しています。
血液内の赤血球の酸素運搬を担う正常なヘモグロビンの量が減少していることが考えられます。全身への酸素の運搬が不足することにより息切れやめまいなどの貧血症状を起こしやすくなります。

MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)基準値 28.0〜34.0 pg
赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの量を表します。

血小板数 基準値 13.0〜34.9 X10^4/ul
血小板は出血したときに止血する働きをするので、血小板が減少すると出血が止まりづらくなります。
高値:血液を作っている骨髄の働きが白血病や真性多血症などの血液の疾患により邪魔をされ、正常な血球を作ることができず血小板の数が多くなることが考えられます。
低値:血液を作っている骨髄の働きが白血病や再生不良性貧血などの血液の疾患により邪魔をされ、正常な血球を作ることができず血小板の数が少なくなることが考えられます。また、肝硬変がすすむと少なくなります。
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posted by じんたろう at 21:45| Comment(0) | 検査データ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする