
透析患者さんの心血管系合併症は、腎不全が発症した時点から始っていて、透析導入時には、40%の患者さんが慢性心疾患をもっていると言われています。
心臓は、人間がいきている限り働き続け、全身に血液を送り、栄養と酸素を供給しています。
心臓は、自分自身にも栄養と酸素が必要でそれが滞ると心臓は働かなくなります。
動脈硬化や石灰化などで血液の流れが悪くなると、心臓に大きな負担がかかり、不整脈が起こりやすくなります。
透析患者さんは、体液過剰(塩分や水分を多く取りすぎた状態)、貧血、シャント、高血圧など、さらに透析によっても心臓に与える負担が大きくなります。
高カリウム血症では、突然死の原因になる脈拍の異常(不整脈)の危険性があります。
心筋梗塞、狭心症・・・心臓に充分血液が行き渡らず酸素不足の状態。
心不全・・・心臓のポンプ機能が低下し血液を全身に送り出せなくなった状態。
心臓弁膜症(心臓には、4つの弁があり、血液が逆流しない働きをしています。)
・・・心臓の弁が完全にふさがらずに逆流し左心房(僧帽弁)、右心房(三尖弁)、左室(大動脈弁)などに血液が滞った状態。
危険因子
高血圧、高脂血症、喫煙、肥満、糖尿病、高尿酸血症、ストレス、運動不足、透析、二次性副甲状腺機能亢進症、高リン血症、カルシウム・リン積上昇による血管石灰化
早期発見が大切
心血管疾患早期発見のための検査は
・心電図、胸部レントゲン、心エコー
・頸動脈内膜・中膜厚を調べる頸動脈エコー・・・簡便で視覚的に動脈硬化の診断が出来る検査です。
・足関節上腕血圧比(ABI)・・・手と足の血圧の比較や脈波の伝わり方を調べることで、動脈硬化の程度を調べます。
以上の検査を当院では定期的におこなっています。
早期発見も大切、もっと大切なのは予防です!
・禁煙
・バランスのとれた食事
・塩分、水分のコントロール
・心身にストレスを溜めない
・リン、カルシウムのコントロール
・内服薬はきちんと服用する
・カリウムのコントロール
・定期的な受診、検査を行いましょう
血管を守り、心臓を守ることが大切です。

自分のためにできることを少しづつ行い、コントロールしていきましょう。
日頃の生活習慣が最も大切です。生活習慣を振り返り、予防に努めましょう。
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