透析治療を受けている患者さんは、さまざまな不快な症状を呈する可能性があります。
その中の一つが「便秘」です。透析治療を受けている患者さんの40%以上の方がなると言われています。
今までの人生の中でも既に便秘の症状に悩まされたことがあるという人 は、その辛さをよく理解していると思います。
〜透析患者さんの便秘はなぜ多いのでしょうか?〜
・大腸の運動が弱い
運動不足、動脈硬化、ビタミンB(特にパントテン酸など)不足。
・きばれない
運動不足により腹筋が弱くなっている。
・飲水制限
水分をとる量が制限されていることも原因になります。
・食物繊維の不足
カリウムと水分の制限のために食物繊維にとむ野菜類や乳製品、豆類、海藻類を充分に取れないことも原因になっています。
一日の必要量は10g以上です。
・薬剤の副作用
リンを下げる薬(フォスブロック、キックリン)、カリウムを下げる薬(カリメート、アーガメイトゼリー)、コレステロールを下げる薬など
・糖尿病
糖尿病のための自律神経障害
あなたの便秘はどのタイプ?
あなたの便秘はどのタイプでしょうか?スタッフと相談して、対策を考えて行きましょう。
種類 | 対策 |
便が固い、ウサギの様な便 | ・ 水分のとり方にメリハリをつける(透析の間の体重増加は5%以内で!)。冷たい100〜150ccの水を一気に朝飲み、あとは制限範囲にする、など。・便を柔らかくする薬(アローゼン、ビーマスなど)を処方してもらう。・便秘体操をする。(次項参照)・出口付近の便が固くなりすぎたときに下剤を使うと腸に穴が開く危険があるので、先に浣腸や摘便で塊を取り除く必要があります。 |
便の量が少ない | ・繊維の多い食事をとる。(後に表示)・サプリメントで食物繊維をとる(事前にご相談して下さい) |
便意を催さない | ・刺激性下剤を用いる |
便秘体操を行う‼️
腹筋の力が落ちたり、猫背だったりすると、大腸は下がり気味になり、狭い腹腔に押し込められてしまうので腸の動きが悪くなります。そこで、腹筋の強化と悪くなった姿勢の解消が必要になってきます。
座って腹式呼吸【おなかを動かすことで腸が揺さぶられる】
口をややすぼめて、細くゆっくりと息を吐いていきます。 できるだけたくさん息を吐きます。お腹に手をあてて確認すると、おなかもへこんでいくのがわかります。息を吐ききって全身の力を抜くと、一気に息が入ってきます。この時、お腹に手をあて、おなかが膨らんでくることが確認できれば、正しい腹式呼吸をしています。10回以上繰り返します。
上体を左右に動かす【腸が左右に引っ張られる。また、背骨のゆがみをとって、神経の働きを高める】
イスに座り、まず背スジを伸ばし、両手を床と平行に広げてあげ、腰から上を水平に右にずらします。2〜3秒してから元の体勢に戻して、今度は左方向にずらします。肩が傾かないように注意します。両手をあげられない場合は、下ろして行います。その際、肩が下がらないようチェックします。20〜30回往復繰り返します。
体幹をねじる【わき腹のストレッチで、腸にリズミカルな刺激を】
手のひらを正面に向けて両手をあげます。上半身を回した方向で反対側の手のひらに触れます。交互に5回繰り返します。手をあげる代わりにイスの肘受けを握ってもらってもよいでしょう。この運動は肘を伸ばすと簡単に両手は合わさりますが、体はねじれていません。肘は曲げて、肩を動かして体の前にもってくるようにすると効果的にねじれています。
- 食物繊維を多くとる
- 食事量の低下を防ぐ
- 規則正しい時間に食事を摂る
特に朝食を取ることが大切です
- 油脂を摂る(適度な油脂は便の滑りをよくします)
- 適度の香辛料や酸味類、少量のアルコール、炭酸飲料を摂る
栄養補助食品やサプリメントの利用