2019年01月09日

透析患者さんと心疾患

透析患者さんは、心疾患を起こすリスクが高いことがわかっています。その理由は、透析導入前から心疾患の原因である動脈硬化が進行しているためです。また、尿が出ないことで、心臓にかかる負担が大きくなるのも原因の一つとなります。

1.心疾患の2大原因

@動脈硬化の進行動脈硬化.png
動脈硬化は、血管の壁にコレステロールがたまって、血管が狭くなったり、詰まったりした状態です。脂質(コレステロール)異常症や高血圧、糖尿病によって進行します。透析患者さんは、このような疾患を合併していることが多く、さらにリン、カルシウムの代謝異常が加わって、血管の石灰化が進みやすいのです。

A心臓にかかる負担の増大
透析患者さんは、透析と透析の間は水分が体に溜まるため、体液(血液)量が増えます。血液量が多いと、それを全身に送り出す心臓に負荷がかかります。 また、透析患者さんがなりやすい貧血も心臓に負担をかけます。貧血が重症になると、多くの血液を全身に送り出そうとして、心臓に負担がかかるからです。

2.心血管系疾患の種類

透析患者さんの動脈硬化は全身で進行するため、さまざまな心血管系疾患を起こします。心血管病変.png

⓵虚血性心疾患
心臓の筋肉に栄養を送る血管(冠動脈)がつまって、突然の胸痛や冷や汗などがみられます。症状が一時的におさまれば狭心症、血流がとだえて心臓の筋肉が障害されると心筋梗塞です。

A心臓弁膜症・・・血液の逆流を防ぐための弁が石灰化により動きが悪くなり、心臓が血液を体にうまく送り出せなくなります。さらに弁の逆流により心臓に負担がかかります。

B不整脈・・・上記のような心臓の疾患や血液中のカリウムの異常などが原因で、心拍数やリズムが不規則になります。

C心不全・・・心臓のポンプ機能が低下した状態で、さまざまな心臓病が原因となります。透析患者さんは体液量が増加しやすいため、心臓に負担がかかって心不全になりやすいことが知られています

*症状・・@左心不全・・・肺うっ血、全身への血流低下(低心拍出量症候群)下肢浮腫.png心臓.png

A右心不全・・・全身の浮腫やうっ血肝、腹水

3.心疾患の原因について詳しく説明すると

@尿量減少・・・尿量の減少あるいは無尿になると、摂取した水分や塩分はそのまま体重増加につながって、心臓への負担を増します。透析間の体重増加が多く、透析のたびにドライウェイト(DW)までしっかり除水できない場合は、過剰な水分を常に体内に残してしまうことになり、心臓への負担を増すことにつながります。

A血圧管理不十分・・・血圧の管理が悪く高血圧が長期に持続すると、心臓肥大を生じて心臓への負担が増します。心ポンプ.png

Bリン、カルシウムの管理不十分・・・リンやカルシウムの管理が悪いと、心臓の筋肉の働きを障害し、心臓の弁の石灰化から心弁膜症(大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症)を生じて心不全を起こしやすくなります。

C貧血・・・貧血は心臓の働きを障害し、心不全を起こしやすくします。

D透析量の不足・・・十分な透析を行っていない場合には、尿毒症性の心筋障害を生じる危険性があります。

E糖尿病・高血圧・高脂血症・狭心症・心筋梗塞・喫煙・高齢者・・・動脈硬化が進行しやすく、虚血性の心臓病を生じやすくなっており、狭心症や心筋梗塞等の虚血性心臓病は心不全の大きな危険因子となります。

4.心疾患対策

心血管系疾患を防ぐためには、動脈硬化の予防や、心臓にかかる負荷の増大を避けることが重要になります。
@血圧のコントロール血圧測定.png

透析患者さんの場合、適正な透析を行った上で、血液量が増えすぎないように、塩分・水分の摂取量を制限したり、降圧薬を用いたりして、血圧を適切にコントロールします。

Aコレステロール異常の改善
食事療法や運動療法で、血液中のHDLコレステロール(善玉コレステロール)、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪を適切に管理します。また、必要に応じて脂質降下薬を用います。ただし、低栄養状態にならないように注意する必要があります。
減塩.png
Bリン、カルシウム、カリウムのコントロール 
リンとカルシウムは血管の石灰化の原因になるミネラルなので、食事療法や薬物療法で特にしっかりと管理します。また、カリウムも同様に食事療法や薬物療法でコントロールします。

C貧血の改善
十分な透析を行うことや、造血ホルモン剤や鉄剤による薬物療法などで貧血を改善します。

〈当院で行う検査〉

心電図、心エコー図、24時間心電図、下肢ABI検査、頸動脈エコー透析治療.png

採血(LDLコレステロール、中性脂肪、リン、カルシウム、i―PTH)

ドライウエイト評価(胸部レントゲン、下大静脈径の検査)

スタッフ.png
posted by じんたろう at 10:47| Comment(0) | 心不全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月14日

カリウムに気をつけよう!

なぜカリウムを制限する必要があるのか!?
カリウムは、重要なミネラルの一つで神経や筋肉の動きを調整しています。低すぎても高すぎても、生命に危険を及ぼすので特に注意が必要です。腎不全では血液の中にたまり高カリウム血症になるために制限が必要です。カリウム値が高くなると、

不整脈ひどい場合には心停止を引き起こすことがあり、 大変危険です!!!


高カリウムの症状には、「口のまわりがしびれる」、「胸が苦しい」、「体がだるい」、などの症状が出現します。カリウムは透析でしか抜くことができません。

カリウムはほとんどの食材に含まれている為、食事をすると多かれ少なかれ体の中に取り込まれてしまいます。しかし調理方法や食品の選び方を考慮した食事をする事でカリウムを減らす事は可能なことです。

カリウムはほとんどの食品に含まれています!       


*一日のカリウム摂取量は2,000mg以下におさえましょう* 

★おせち料理

おせち.png

黒豆 約20g

388mg

ごまめ 約10本

96mg

数の子   1本

13mg

伊達巻  1切れ

48mg

かまぼこ 40g

40mg

えび旨煮  1尾

25mg

なます 約50g

120mg

栗きんとん約60g

242mg

昆布巻き2本

30mg


穀類

米飯(160g)46mg

食パン6枚切り1枚(60g)58mg


いも類

里芋(100g)640mg

さつまいも1/2個(100g)470mg


野菜

白菜(100g)220mg

みかん(100g)150mg


果物

柿(100g)170mg

干し柿(100g)670mg

栗(100g)5個程 420mg

甘栗(100g)560mg

食事療法・運動療法をしていくことが、透析治療の二本柱です。これからも継続していくことが大切です。

年越し.png
posted by じんたろう at 17:20| Comment(0) | 心不全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月11日

血液透析治療について

まずは、腎臓についてkidney.png

腎臓とは、背中の腰の高さに左右1個ずつある、握りこぶし大の大きさの臓器です。血液中の老廃物をろ過して尿をつくる、からだの「排泄処理場」です。腎臓には、心臓が1回の拍動で送り出す血液の4分の1が送り込まれ、約150180リットルもの尿のもと(原尿)がつくられ、ろ過が繰り返されます。最終的に約15リットルまで減って尿として排泄されます。

透析療法とは

腎臓の働きが健康な人の10%以下になると血液のろ過が十分に行えず、水分や老廃物のコントロールができなくなります。それを補うのが血液透析療法です。(腎代替療法の中のひとつです)

今、皆さんが行っている治療を血液透析といいます。血液を体内からと取り出し、血液透析器(ダイアライザー)を通して血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、きれいになった血液を体の中に戻す方法です。

HD回路.png

シャント血管について

血液を体の外に出すために動脈と静脈をつなぐ手術をします。その血管を使って、血管に針を刺し(穿刺)血液回路(チューブ)につなぎます。その血液をダイアライザーで浄化し、もう一カ所穿刺した血管を通して体内に戻します。ダイアライザーは、半透膜がストロー状に束ねられており、ストローの外側を透析液が流れ、ストローの内側に血液を流します。血液中の老廃物を十分に除去する為には「1分間に200ml」以上の血液をダイアライザー内に送り込まなければなりません。

健康な腎臓は一日中(24時間)働いていますが、透析治療は、週3回、一回の透析で4時間〜6時間(その方によって違いがありますが)しか行えません。ですから、透析治療だけでは、補えないことがあります。

そのため、@塩分や水分を制限すること、Aくだもの、生野菜を控えること、Bリンを吸着薬を毎食事に飲む、C血圧を調節する薬を飲む、など多くの制約があります。透析において、水分制限をどうしたらいいかなど、わからないことがあれば、スタッフにお声をかけてください。

posted by じんたろう at 16:40| Comment(0) | 治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする