2018年03月11日

災害時の準備

2011年3月11日の東日本大震災から7年、2016年4月の熊本大地震から2年が経過しようとしています。
今回は災害時についてもう一度お伝えしようと思います。これを機会に防災グッズの見直しをよろしくお願いします。

透析をしない日に地震が発生した場合
(1)かかりつけの病院に電話で連絡してください。
この場合、家庭の固定電話や携帯電話よりも公衆電話の方がつながりやすいです。あらかじめ自宅近くの公衆電話の設置場所を確認しておいて下さい。
(2)電話がつながったら、透析スタッフから具体的な指示を受けてください。(災害の程度によっては即答できない場合があります。)japan.png
(3)かかりつけの病院が壊滅状態になり情報提供ができない場合は、ご自分で透析施設を探し出さなければなりません。透析施設を探すのは電話帳からでも可能ですが、保健所や各都道府県の腎協に問い合わせて、それぞれの都道府県の透析施設の情報を得ることができます。日本透析医会は、過去の大震災の経験を教訓として支援の広域化を目指し、「災害情報ネットワーク」の整備を行い支援の中核を担えるようになっています。
(4)当院は福岡県透析医会に登録しているので、日本透析医会の災害ネットワークを利用して、福岡県内外での透析病院の紹介先のネットワークができるようになっています。

透析中に地震が発生した場合
地震の揺れは長くて1〜4分程度です。
むやみに動くと転倒してケガをしたり、透析の針が抜けてしまう恐れがあり危険です。
➡ベッドに横になっている場合は、
血液回路をしっかり持ちます。
テーブルを足元へ移動させ、布団を頭までおおって落下物でのケガを予防します。
血液回路内の血液をもどす時間的余裕のないときは、緊急に回路から離脱します。方法は以下の通りです。kairo.png
@看護師がそばに行き抜針します。
Aバンドで固定、もしくは患者さまご自身でボタン圧迫していただきます。
Bスタッフの誘導に従って避難場所へ避難してください。

★日頃から止血ベルトを広げてテーブルの上に置いておく習慣をつけましょう。
★起立性低血圧などの血圧変動のある方は起き上がる際に転倒しないよう気を付けてください。
エレベーターは緊急停止するので使えません。階段を使用します。eleverter.png
kurumaisu.png★車いすが必要な方はスタッフが介助するか担架で移動します。
気分の悪い方や血圧低下が心配な方は無理をせずにスタッフに声をかけてください。




災害時の食事管理のポイント
大災害が発生したら、透析を1週間受けられないような最悪の事態も想定しておかなければなりません。透析を受けられない間、食事や水分の管理を普段よりかなり厳しくしなければなりません。
@できるだけカリウムを抑えます。
唇がしびれる、手足に力が入らずがくがくするなどの症状が現れた場合はすぐに透析しなければ心臓が止まる状態です。できるだけ早く透析のできる施設へ行かなければなりません。
A塩分を少なくします。
B水分を減らします。
Cたんぱく質を適度にとります。
Dエネルギーを適度にとります。
★カリウム、塩分、水分は普段の半分から3分の2程度に制限しましょう。
★支給されたお弁当などの佃煮・漬物・塩分の多そうなものは食べないようにします。
★ご飯・パン・ビスケットなどはできるだけ食べましょう。
KNa_etc.png
カリウム・塩分・水分は抑えて、エネルギーはしっかり摂取しましょう!


災害時のような厳しい状況の中でも「食事と水分」を上手に管理すれば、数日間は日常生活を続けることが可能です

非常時持ち出し品のリスト
非常時に備えてリュックサックや手さげ等にまとめておきましょう。

□身体障がい者手帳(コピー)    □保険証(コピー)
□透析条件カード(コピー)     □預金通帳(コピー)
□懐中電灯  □ラジオ   □電池    □現金
□非常食品  □飲料水   □ラップ   □ビニール袋
□紙コップ  □紙皿    □アルミホイル
□下着    □タオル   □手袋または軍手
□ティッシュペーパー   □ウェットティッシュ
□筆記用具  □レジャーシート


mochidashi.png非常用バッグ、定期薬はいつも手の届くところに!透析条件カードと保険証はいつも持ち歩くようにしましょう!
ご家族や病院の連絡先も一緒に保管してくださいね。
posted by じんたろう at 00:00| Comment(0) | 災害対策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月21日

痒みについて

痒みの原因の多くは乾燥によるものです中枢性痒み.png
透析を受けている場合、高い頻度で全身にかゆみを生じると言われています。かゆみの原因の多くは乾燥によるものです。透析を続けると汗が出てくる汗腺が委縮して汗が出にくくなり、皮脂が皮膚全体に行き渡らなくなるため乾燥してしまいます。皮膚が乾燥すると外からの刺激に敏感になり、かゆみを感じやすくなるだけでなく、かゆみを伝える神経が皮膚の浅い部分にまで伸びてくるため、さらにかゆみを感じやすくなります。

また、透析患者さんでは、オピオイドペプチドと呼ばれる神経の中にある物質が増加することがあります。これが神経を刺激することで全身のかゆみを感じます。

痒み対策のポイント
適正透析透析中.png
血液中のリンやカルシウム、副甲状腺ホルモン濃度が上がることでもかゆみを引き起こします。そのため、
十分な透析を行い身体にたまった不要な物質を除去することが大切です。リンを抑えた食事も心がけましょう。

皮膚の清潔・保湿
入浴時は皮膚を乾燥させないように、熱すぎるお湯や長時間湯船に浸かるのは避けたほうがよいです。また、体を洗うときは刺激の少ない石鹸やボディソープを使用しましょう。ナイロンタオルは刺激が強いので、柔らかい素材のものか、よく泡立てて手で洗うのがおすすめです。
入浴の後は、保湿剤を塗って皮膚から水分が蒸発するのを防ぎましょう。(お風呂から出て5分以内が目安です。)
痒み対策1.png

薬物療法痒み薬.png
・塗り薬➡保湿剤やかゆみを抑えるもの、ステロイド剤など。
・内服薬➡かゆみの原因となるヒスタミンやアレルギーによる症状を抑える薬。
中枢性のかゆみを抑える薬。など
・注射薬➡かゆみを抑えるものを透析時に投与します。

かゆみの原因はさまざまなものが考えられますので、かゆみを感じたら、まずは当院スタッフにご相談ください。
posted by じんたろう at 11:40| Comment(0) | かゆみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月29日

透析患者さんの心臓病のお話し

*心不全                     
心臓がうまく収縮できなかったり、拡張できなかったりする場合にみられます。心不全.png

原因(透析患者の特徴)
1.透析直前には血液量自体の増加・血圧上昇から心臓への負担が増加する。
2.虚血性心疾患や弁疾患のリスクが高い。
3.左室肥大は心臓の拡張を低下させる。
4.長期的には、高血圧・血管の石灰化・貧血の存在は心不全の原因となる。

*症状
・左心不全動悸.png
@肺に血液がたまる→肺うっ血状態となり呼吸困難となる。
A肺に血液がたまるため、他の臓器に十分な血液が行き渡らない。


・右心不全浮腫.png
@全身への血液がたまる→臓器・全身浮腫がおこる。





*予防減塩.png
心不全には体液過剰が深く関連するため、厳格な食塩制限に基づく体液管理(体重管理)が必要です。体重増加は1日空きでドライウエイトの3%、2日空きで5%以内に抑えましょう。(体重増加1sは約8gの食塩摂取に相当します)
体重増加がさほど多くなくとも、ドライウエイトが適正でない場合には、少しの体重増加が心不全や肺うっ血につながります。適正な血圧、リンのコントロール、ヘモグロビンの適正値への調整も重要なポイントです。

*虚血性心疾患
心臓は仕事量が増加すると、心筋が必要とする酸素の量が増加します。一方、冠動脈が狭窄すると、心臓の仕事量の増加に見合った血液が流れなくなります。これが狭心症です。さらに、冠動脈が閉塞すると、その末梢の心筋が壊死します。これが心筋梗塞です。
虚血性心疾患.png


*症状
前胸部の痛み・圧迫感、左肩への放散痛、背部痛、心窩部痛などがみられます。

*予防喫煙.png
血圧、リン、貧血の管理の他、脂質異常がみられる場合には、コレステロール値などの管理も行います。また、喫煙をしている場合には、禁煙が必須です。除水量が多い場合には、透析中から透析後の血圧低下から虚血を誘発する可能性があります。このため、食塩制限による体重増加の抑制も重要です。

・当院で行う検査
心電図、心エコー、24時間ホルダー心電図(必要時)、ドライウエイト評価
必要時循環器受診
生活習慣改善.png
posted by じんたろう at 08:49| Comment(0) | 心不全 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする